娘は2歳以降、装具治療をしてきました。使用している装具や治療目的によって装具の特徴は様々ですが、娘が使用した下記写真のような長下肢装具装着により幼児期の日常にどんな影響や変化があったのか、その特徴について体験談をまとめています。2~4歳程度の子の装具装着のご参考にしてください。

2~6歳の時期に「ブラウント病疑い」「ブラント病」と診断されたら、いきなり手術ではなく、まずは装具で治療を行うケースがあります。
そのような診断をされた親御さんは、「装具って何?どんなもの?」と疑問に思われるかと思います。
私も、そうでした。
上記写真は、娘が実際に使用した装具で、「長下肢装具」と呼ばれるものです。
本記事では、装具装着に対し、日常生活をどう対応していけば良いのか、装具の取扱い、服、オムツ/トイレに関してまとめています。
なお、本記事は医師監修の内容ではなく、ブラウント病患者の親が記した記事ですので、あくまで一個人の体験談や意見として読んでいただけたら幸いです。
装具装着の留意事項や特徴
本章では、担当医の先生にアドバイスいただいた内容と、装着治療を始めて私が気がついた特徴について、各々記します。
医師の先生にアドバイスいただいた留意事項
<装着習慣化について>
- 年齢が小さい子ほど、装具を付けている状態に慣れるのが早い。
- 毎朝、起きたら装具を付ける等、定刻に装着すると習慣化しやすい。
- 装具装着の習慣化には、母(父)の根気が必要。
装具治療を始めた全体の3~4割の子は嫌がってなかなか装着してくれない。
嫌がっても根気よく接すれば習慣化できるケースもあるが、一度諦めて半年後や一年後に仕切り直すケースもある。 - 装具に絵を書いたりシールを貼ると、愛着が湧いて装具を受け入れてくれるきっかけになるかも。
- 保育園に通ってる子の方が案外付けてくれる。自宅保育の場合は、親への甘えが生じて付けてくれないケースが多い。
<装着時間>
- 装着時間と効果は比例するので、理想は、お風呂以外は常に装着していると良い。
- まずは、一日5時間の装着を目標にする。例えば、午前中2.5時間、午後2.5時間。
一日10時間装着を目標にし、少しずつ装着時間を長くしていく。 - 装着する日と装着しない日を繰り返すと子が混乱するので、装着開始したら、途中で付けない日を作らない方が良い。
- 装具治療の効果は個人差が大きく、毎日つけても完治するとは限らない。
但し、装着していない状況と比べると、効果は確実にある。 - 数ヶ月で治る可能性はほぼなく、最低でも一年以上は付ける覚悟でいた方が良い。
(骨はそんなに短期間で矯正されない)
<就寝時>
- 立っている時に装着すると効果があるので、日中よりも夜の装着の方が効果が薄い。
その為、夜の装着はどちらでも良い。 - 就寝時に装着する場合は、膝が曲がらないようにロックをかける。
<水洗い不可>
- 水洗いすると容易に錆びるので、汚れそうな場合は事前に外し、水洗いは極力しない。
- 以下のケースは装着不可。
- 外遊び →砂場等の汚れそうな場所では外した方が良い。
- 水遊び
- 遊具や体操教室 →金具が遊具に引っかかる可能性があるので、外した方が良い。
- トイトレをしておしっこ失敗した時に数回装具を水洗いしたことで装具が錆びてしまったケースがある。装具治療中で何度も失敗しそうな時期にトイレトレーニングを行うことはできない。
私が気づいた特徴
- 装具を履いた足で、手足を踏まれると、痛い。
しかし、本人は人の手足を踏まないように注意しているようで、誤って友達や弟の手足を踏んでしまったことは、1回もない。母である私の場合は距離感に気を遣わないせいか、私は踏まれた事はあるが、回数は少なく、年間5回以下。
→弟が0歳の時も弟を踏むことは1回もなかったので、家の中でも安心して装着させられた。 - 午前中に運動量が少ない日でも装具を付けていると長時間昼寝する。
装具はある程度重いので(両足で1kg超)、装着するだけでかなり疲れるのだろう。例えば、装具付けずに買い物に出かけた場合は昼寝時間が短いが、装具を付けて買い物に出かけた場合は、外遊びした場合と同程度の長さの昼寝をする。 - 昼寝時は装着した状態で寝た方が、昼寝後以降の装着時間を確保できる。
お昼寝後の寝起きの悪い時に装着する事は、非常に難しい。昼寝するタイミングで装着していなければ、その日の午後はもう装着できないと諦めた方が良いくらい、(我が子の場合、)昼寝後の装着は困難。 - 2歳2ヶ月時点で自分でベルトを通して装着できる。ただ、左右反対に履く場合があるので、要注意。また、膝下のベルトの増し締めは大人がする必要がある。
装具装着時の衣服 ~ズボン?タイツ?装具の上?下?厚さは?~
主に以下のように、短パン+布切れの場合と、柔らかめのズボンの場合を時期に応じて使い分けていました。

短パン+布切れ(※1) | 柔らかめの長ズボン | |
時期 | 夏 | 春、秋、冬 |
オムツ替え | 装具を外さずにオムツ替えができる | 装具を外さないとにオムツ替えはできない(※2) |
衣服の注意点 | ・装具を外さずにオムツ替えする為には、装具を付けた状態で脱着できるサイズの短パンが必要。 ・布切れは、大人の要らなくなったロンTの腕の所を切って手作りした。縫い目が外側にくるように表裏ひっくり返すと、縫い目が肌に食い込まず、痛くならない(※1)。 | ・ズボン内側の縫い目が出来るだけ柔らかい素材。ジーパン等は、生地が固いので、装具ベルトの下で縫い目が肌に食い込んで擦れて痛くなりそう。 ・ストレッチが効いているような、伸縮する素材。 |
(※1)
布切れをせずに直で装具を履いても良いでしょう。しかし、夏場は汗をかきますので、赤いクッション部分を定期的に洗うことよりも、何かしら布一枚挟んでそれを洗った方が清潔で楽だと考えました。ちなみに、長めのハイソックスを市販で購入しようと色々探したところ、膝上丈の商品はありましたが、太もも丈かつ薄手の商品は見つけられませんでした。その為、布切れ(大人のロンT腕)に行き着きました。また、夏場にタイツもありかと考えましたが、猛暑の時期は太ももの風通しが良くなるだけでも暑さをしのげると思い、短パンにしました。
(※2)
装具をいちいち外してオムツ替えするのが面倒で、冬も短パン+布きれ+上から厚手の靴下をはかせたことがあります。しかし、膝関節部分が接触して上から履かせた厚手の靴下がすぐほつれてきた上に、本人は動きにくそうでしたので、装具の上から厚手の靴下などを履かせることは辞めました。
オムツ替え
前章で記載したとおり、装具を付けた状態で脱着できるサイズの短パン、つまり太もものところが太い短パンであれば、装具を脱がずにパンツタイプのオムツ替えをすることができます。
その場合、装具の上から新しいオムツを通すことになりますが、新しいオムツが装具に引っかからないように注意する必要があり、装具無しの場合に比べると、多少時間がかかります。
そう考えると、装具を外してオムツ替えした方が早い時もあります。
例えば、本人の機嫌が良く、屋内で座って自分で装着できるスペースがある時などです。
逆に、屋外の時やご機嫌斜めの時は、オムツ替えの為に装具を外すと、その後の装着に時間がかかるので、装具を外さずにオムツ替えした方が早く、そうしていました。
また、パンツタイプの場合、オムツ替え時に新しいオムツを装具の上から通すと引っかかって破れることがあるので、テープタイプを使用しているという話を聞いた事があります。
ただ、我が子はパンツタイプでも💩が漏れやすいタイプだったので、テープタイプにするともっと漏れると思い、テープタイプを使用しませんでした。
トイトレの可否と時期
上述した通り、装具は水洗いにより錆びてしまうので、まだお漏らししてしまいそうな時期にトイトレとしてパンツを履かせることはできません。
オムツをはかせながらトイレで排泄する期間を長めにとって、確実にお漏らししない状態になったら、パンツに切替える事になります。
オムツを履いてるとどうしてもトイレではなくオムツに排泄してしまいがちですので、なかなかパンツに切替えられないでしょうが、私は、それは仕方ないと割り切る事にしていました。
また、トイレで排泄できるようになり、毎度トイレに行く習慣が着いてくると、装具を付けたまま便座に座ることはできないので、トイレに行く度に装具を外すことになります。
そうなってくると、装具を付けたままオムツ替えするシーンはなくなります。
最後に
トイトレに関しては、我が子はだいぶオムツ外れが遅くなり4歳になってやっと外れました。
私がトイトレをほぼ諦めていたので、オムツ外れが遅くなりましたが、やりようによってはもっと早く外れたのかもと少し反省してます。
というのも、装具治療が娘の負担になっているという潜在意識があったので、娘の負担になりそうなもの、娘が自ら行わない日常の細部については、私が無意識下で諦めたり見送ったり無くしたりしていました。
そのうちの一つがトイトレでした。
トイトレをしていく中で、子がトイレに行きたくないと嫌がる時期があります。
そんな時に私はまぁいっかと思っていました。
その時に、仮にオムツが外れなくても、トイレで排泄する習慣付けをもう少し早められていたら良かったかなと少し思います。
それでは今日はこの辺で。
今日も素敵な一日になりますように☀
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