

会社勤め(システムエンジニア)の傍ら、30歳から畑を借りて半農半Xな農的暮らしをスタートしたびわ子です。 多品種少量栽培しており、最近は、ドライフルーツの販売も始めました。 商品は主にネット販売しています。
私は30歳の頃、夫と一緒に暮らし始めた事を機に、農業を始めました。
当時は、「生活費を節約したい」という思いと、興味本位で始めました。
それが予想以上に軌道に乗り、今では野菜はほぼ自給自足。
農業を始めた2,3年目(今から2,3年前)に年子で二人出産しましたが、その間も細々と耕作を継続し、ちょっとしたお小遣い稼ぎができています。
うまく軌道に乗った最大のポイントは、小さく始めたことだと考えています。
本記事は、お金のためというよりも、生活の一部として野菜作りを始めてみようと考えている方、つまり半農半Xという生き方にチャレンジする方の参考になれば幸いです。
- 野菜の自給自足生活に憧れる
- 地方移住し、庭があるので、自分で野菜を育ててみたい
- 収入のためというよりも自分が食べるという目的で農業の始め方を知りたい
- 会社員等でフルタイム勤務しているが、暮らしにゆとりを生むような新しい事を始めてみたい
- 物価高騰により自分の食糧を全て購入する生活に不安がある
半農半Xとは?兼業農家と何が違う?
タイトルにある「半農半X(エックス)」とは、数年前に注目された言葉です。
生活する上で必要となる食材を自分で育て、残りの時間を好きな仕事や自分がやりたいことに費やす生き方
1990年代に半農半X研究所の塩見直紀氏が提案したライフスタイルで、農業とは別の何かを表す「X」を両立して生活をしていこうという考え方です。
「半農半X(エックス)」に似ている言葉として「兼業農家」がありますが、両者の生活スタイルは全く異なります。
それらの違いを下記表にまとめました。
| 半農半X | 兼業農家 | |
| 農業の目的 | 自給自足 無農薬等のこだわり栽培 趣味 副業 | 収入を得る |
| 農業以外の仕事(X)の目的 | やりたいこと 好きなこと | 農業収入の補充 |
| 収入源の比重 | Xが主 | 農業が主 |
上記表から分かるように、半農半Xとは、兼業農家ほど収入を重視せず、どちらかというと自給自足、金銭以外で暮らしを豊かにすること目的としています。
私がやっていることは、「兼業農家」ではなく「半農半X」だということに最近気が付きました。
つまり、収入を得る事よりも、栽培自体が楽しく、自給自足で自分の家庭の食卓が潤う事を主目的としています。
【最大のリスク】農を「好き」になれるか
上記半農半Xと兼業農家の目的の違いから、「失敗」という観点でも違いが顕著に表れると感じています。

農業における失敗って何でしょうね。
やはり稼げない事でしょうか?
元々、「農業は稼げない」というイメージが強く、稼げない事例が多々あります。
「収入が得られなかった」という理由で、農業を辞めた新規就農者は後を絶ちません。
一方で、半農半Xの場合は、収入を目的としていない以上、収入が僅かでも、失敗とは感じないでしょう。
仮に収入が僅かでも、自身の食生活が潤ったり自給自足できたりして、当初の目的を達成できていれば成功と感じます。

では、半農半Xにおける失敗とは、何でしょうか?
それは、「農そのものを好きになれず、継続できない」ことです。
例えば、日々の農作業を苦痛に感じ、ストレスがたまっていた場合、自給自足できたとしても心や暮らしは豊かにならず、いずれ辞めてしまうでしょう。
その為、半農半Xを始める際に事前確認したい一番のポイントは、自分が農を好きになれるかという点です。
【対策】まずは1年、小さく始めて土を耕してみる
自分が農を好きになれるかという点を確認する為、日々の農作業を苦なく継続できるか、試してみることが大切です。
これは、机上で考えるよりも、実際に始めてみないと分かりません。
その為に、以下のように小さな畑を借りて、最低限の農具で耕してみるのです。
- 初期投資 :¥10,000
- 畑面積 :1年目は、30~100㎡。
そして、自分が農的暮らしを継続できるか、検証してみるのです。
上記2点である初期投資と畑面積について、詳細を次章以降にて説明していきます。
【初期投資】1万円にてスタート
私自身、農業を始めた1年目は、最低限必要な農具のみ揃え、小さく始めました。
かかった費用は1万円以下です。
以下を参考にしていただき、自分に必要な農具のみ購入しましょう。
畑の賃貸料は、エリアによってはほぼ0円という場合もあるでしょう(耕すだけで喜ばれる)。
農具や資材は、農業を辞める方から譲り受けると、かなり節約になります。
また、上記の他に、草刈り機や、耕運機、三角ホーなど、あったら便利な農機具が世には多々ありますが、なくても意外と何とかなります。
何があったら便利なのか知るためにも、不便な状態を一度経験しておくことも必要です。
その為、最初の一年目は、上記最低限の農具のみで耕作してみることをおススメします。
ちなみに私は小型耕運機を購入しましたが結局ほぼ使用しておらず、150㎡以下の耕耘面積であれば耕運機が無くても鍬のみで自力で耕すことができます。
【畑面積】1年目は30~100㎡。2年目以降、拡大する
小さく始める際の1年目の耕耘面積として、まずは30~100㎡の広さが良いかなと思います。
理想は60㎡かなと思いますが、都合よくその程度の広さの畑を借りることは難しいので、30~100㎡と幅を持たせました。
30㎡であれば、庭先で確保できる場合もあるでしょう。
なお、100㎡以上となると、草刈などの管理の手間がかかり、本来の耕作に手が回らず本末転倒な事態になりかねないので、できたら避けた方が良いでしょう。
まずは、30~100㎡の広さの畑を一年間耕してみて、自分にとってどの程度の面積が適切か検証し、物足りなければ、翌年以降、更に畑を借りる方法が良いと考えます。
その考えに至った理由を以下に2点、まとめます。
拡大は容易だが、縮小は困難
夏場の畑は、何も育てずに草刈もしなければ、一か月程度であっという間に自分の背丈を超える程の雑草が生えます。
実際、私も借りた畑を雑草生え放題の荒れ地にしてしまったことがあります。
一度そのような状況にしてしまうと、草刈および耕耘し、耕作できる状態まで復帰するのに結構な手間がかかります。
自分で耕すにしても、貸し手に返すにしても、草刈りおよび耕耘による現状復帰は必要なので、一苦労です。
また、返す場合について、例えば、200㎡の畑を借りて、管理しきれなくて、100㎡だけ返しますというのは、現実問題、なかなか難しいものがあります。
畑を貸している側からすると、「半分だけ返されても困る」「だったら200㎡全て返してくれ」と言われるでしょう。
そのような事態を避けるために、最初から100㎡以下の畑を借り、翌年以降に追加で借りるという対応の方が良いと考えます。
複数の土質の畑をもつことで、あらゆる作物を効率よく栽培できる
土質や水はけの良さに応じ、畑によってよく育つ作物と、どう頑張っても育たない作物が生じます。
そのため、多品種栽培を行う場合、一つの畑ですべての作物を元気に育てることはなかなか困難です。
そこで、複数の畑を持ち、その土質にあった作物を適材適所で育てる方法が効率的と考えます。
また、連作障害を避けるために輪作する場合、複数の畑をもっておいて、毎年畑ごとに順に育てる野菜を変えていくと便利です。
まとめると、一年目は超小規模の畑を借りて、畑拡大の計画を練りながら耕作。
2年目以降は、育てたい品種に応じ、適した土質の畑を追加で借りて、必要に応じ輪作していく、という方法がよりよいと考えます。
最後に 〜半農半Xにより人生を豊かに〜
今回は、半農半Xで農業にチャレンジしようとしている方向けに書きました。
ただ、「農作業が嫌いではないという確信を得てから、収入目的とした兼業や専業農家として本腰を入れる」というポイントに関しては、新規就農者すべての方に参考になるかなと思ってます。
「自分が半農半Xを希望しているのか分からない」「兼業農家としてチャレンジしてみようと考えている」といった方にも参考にしていただけたら幸いです。
特に、多品種少量栽培の場合、生活を支える程に売上を上げることは非常に難しいです。
実際、私も自分の生活の主収入は、サラリーマンとしての給与です。
そういった観点から、
当初は兼業農家志望だったけど、途中で半農半Xに切り替え、自分の食生活を豊かにする為に農業を営む
という選択肢も有意義だと思います。
物価が高騰する昨今、自分で野菜を育てる方が増えたらいいなという思いで本記事を記しました。
読んでくれてありがとう。
今日も素敵な一日になりますように☀


コメント