

30歳頃から会社員の傍ら、農業にチャレンジしたびわ子です。現在は、兼業農家として、野菜セットや果物(桃、葡萄、干し柿)をネット販売しています。
熟年離婚危機のご夫婦は世の中にごまんといるでしょうが、私の両親もそのうちの1組でした。
「仕事一筋」「無趣味」「単身赴任」「生活スタイルが真逆」・・・など
私の父には、離婚される夫の特徴が一通り揃っていました。
熟年離婚を予防/回避する対策として、夫婦間でのコミュニケーションの活性化や家事への参画などがあがるでしょう。
しかし、私の両親の場合、そのような当人らの努力による関係性改善は困難でした。
そんな中、まさかの「農業」「家庭菜園」が熟年離婚回避に一役買いました。
しかも、「農業」を始めたのは、熟年離婚しそうな夫婦当人ではなく、その子ども(私の兄)です。
なんと、私の兄は、両親の熟年離婚を回避する為に農業を始めました。
両親はそんなことはつゆ知らず、兄の思惑の通り、今では、適度な距離感で、日々の畑仕事により規則正しい生活にて夫婦円満に暮らしています。
では、その詳細について、以下、記述していきます。
※本記事は、「熟年離婚しそうな当人」というよりも、「その子ども」向けに書いています。
- 熟年離婚しそうな夫婦の子ども
- 両親と自分ともに土いじりが嫌いではない
- 子どもである自分が実家または実家の近くに住んでいる
- 実家では、暇そうにゴロゴロしている父に対し、母がイライラしている
- 副業として新たな仕事にチャレンジしたい
- 親子関係が対等(モラハラ気質の毒親等ではない)
【きっかけ】父が定年退職し、単身赴任先から戻ってきた
事の始まりは、父が定年退職に伴い、単身赴任先から実家に戻ってきたことでした。
父は、私が小学生の頃から単身赴任をしていたので、両親にとって20年ぶりの夫婦同居生活スタートです。
しかし、私の両親は、生活スタイルがことごとく真逆です。
今までは別々に暮らしていたので、真逆の生活スタイルでも、支障なく成り立っていました。
しかし、一緒に暮らすとなると、自分の好き放題、真逆のスタイルのまま暮らしていては、お互いにストレスがたまります。
父も母も長年の生活スタイルが確立しているので、それをすりあわせるのが非常に困難な様子でした。
定年を機に離婚する「定年離婚」という言葉もあるように、定年は熟年離婚の引き金になりやすいようです。
夫婦関係は日に日に悪化し、本当に離婚準備を始めそうにところまで行きました。
【問題点1】熟年離婚の危機
一般的な熟年離婚に至る原因は多々ある中で、
私の両親の場合、下記3点が離婚危機に大きく影響を与えていました。
原因①:生活スタイルや性格が真逆
私の両親は、以下の通り、あらゆる面で真逆でした。
父 | 母 | |
役割 | 仕事一筋 | 専業主婦 |
定年までの生活拠点 | 単身赴任 | ワンオペ育児 |
生活スタイル | 超朝方 (20:00~4:00睡眠) | 夜型 (23:00~7:00睡眠) |
趣味 | 無趣味 | 多趣味(ヨガ、旅行、絵画、マラソンなど) |
コミュニケーションで 求めること | 日常会話でもビジネストークのように結論を先に端的な会話 | 共感を求める。 一方的なマシンガントークで日々起きたことをおしゃべりしたい |
私の両親のように、家庭内で完全分業(「生活費を稼ぐ」と「家庭を守る」)してきた場合、結果的に上記の通り、真逆になってしまうケースが多い気がします。
専業主婦が多数派だった世代にとって、このようなケースはよくあることでしょう。
しかし、父が仕事を辞め、完全分業していない今、真逆のままでは、お互い大きなストレスとなっているようでした。
原因②:仕事一筋&無趣味の父
仕事一筋だった父にとって、没頭できる程の趣味を持っていませんでした。
そもそも、定年までは仕事に没頭していたので、趣味をする程の時間を持てなかったという表現が適切かもしれません。
この手のタイプの人が定年退職すると、趣味の為に出かけることが少ないので、日中、家にいることが多くなります。
「父が家にいることが多い」ということは、母からすると
- 掃除の際、父が邪魔である
- 家が汚れる(掃除をしたそばから汚される)
これは苦痛でしかありません。
「退職したから家事半分、自分がやるよ!」と、柔軟に対応できる男性であれば状況は改善するのかもしれません。
しかし、父はそんなタイプではなく、父が家にいる時間が長いほど、母は父への嫌悪感を募らせているようでした。
原因③:定年まで単身赴任の父
単身赴任中、父と母は、それなりに口論することもありましたが、そもそも喧嘩をするほど一緒に生活を共にしておりませんでした。
父はほぼ毎週末帰省していましたが、それでも週二日。
週二日しか会わなかったからこそ、上述した真逆の生活スタイルでも夫婦生活が維持できていたという側面もありそうです。
週二日から週七日へ、生活を共にする時間が3.5倍となり、今までは見過ごしてきた小さな不和が次々に露見していきました。
この不和の調整は、新婚ほやほやの同居スタートの場合であれば何とかできるのでしょうが、子育てなどにおける長年の怨念が蓄積している夫婦にとっては非常に難しいものがありました。
【問題点2】早期介護スタートの懸念
父はゴリゴリの会社員生活からの定年。運動習慣は無し。
その為、急に脳および身体を使う頻度が激減し、

早くボケそう・・・
と子どもながらに私は感じました。
子どもからすると、熟年離婚はまぁ、本人同士の決断なので尊重します。
しかし、介護については、元気に老後生活を満喫していて欲しい、というのが率直な意見です。
実家で暇そうにしている父を見ていると、介護が差し迫った未来のように感じました。
【最大の根本原因】父は外出習慣がなく、家にいる時間が長い
以上、問題点および原因をまとめると、
定年退職した父が家でゴロゴロしている
↓
本人の健康を害している&母へのストレスとなっている
という共通の原因に繋がります。
つまり、この状況を改善するためには、父が習慣的に外出し、身体を動かす機会を作る必要がありそうです。
【対策】サラリーマンの兄が兼業農家へ
そんな中、父の定年退職後しばらくして、兄が突如、葡萄農家になりました。
後から分かったことですが、兄の新規就農の裏目的は、上述した2つの問題「離婚」「介護」を予防する為です。
当時、既に私が先に農業を始めていたので、それを横目に、兄は

俺にもできそう
と感じたのでしょう。
ただ、兄は、私以上に大規模に、兼業農家の範疇を超える規模で始めました。
会社勤めの合間に作業し切れる耕作面積ではありません。
栽培対象は、葡萄とにんにく。
しかも、葡萄の新規就農は、資材等の初期投資が高額です。
それを厭わず、兄はどんどん投資していきました。
【効果】早期介護と熟年離婚を回避
ポイント①:父に「畑仕事」という日常的な運動および生き甲斐を生み出した
兄の新規就農後、父は

俺、暇だし、俺にできる事があれば手伝うよ
と声をかけました。
それに対し兄は、

ありがとう。
そしたら、毎日、水くれをお願い。
あと、適宜、施肥と草取りをお願い。
と、一日1~3時間程度の作業量を父に依頼しました。
きっと兄は、新規就農前から、父を労働力として見込んでいたのでしょう。
そして、今まで家で過ごす事が多かった父が、毎朝、出勤するかのように畑へ行くようになりました。
幸いなことに、父は以下のような性格の為、兄から依頼された仕事を喜んで遂行していました。
- 依頼されたことは100%の完成度で、最速で実行する
- 習慣的に毎日同じことを行うのが好き。
- 単純作業を無心で行うことが嫌いではない
上記1.と2.は、サラリーマンとしての特性ですかね。笑
父の仕事ぶりを見て、

父はサラリーマンとして全うしたんだな~
と、私はしみじみ感じました。
そして、兄からの依頼が多い時は、父は頼られていると感じ、更にやりがいを感じていたようです。
また、父の担っていた「草取り、水くれ、施肥」は、無心でできる単純作業もありますが、身体だけでなく意外と頭も使います。
根が深い雑草はどの草刈り器具を使った方が良いのか、水くれはどのようなやり方をすれば効率的にできるか、などと考えることが多々あります。
今では父は、
毎朝早く起床し、畑に行って一汗かいて、
帰宅後、図書館やゴルフ、祖母の世話などをして、
夕方再び畑へ
といった規則正しい生活をしています。
そのおかげで、父が生活習慣に起因して早期に認知症になる心配はだいぶ減りました。
なお、定年後の父と共に、副業として農業を家族で始めるメリットは、以下に掲載しています。
良かったらご覧ください。
※
ポイント②:父が毎日畑に出勤することで、母のストレスが激減
一般的に、夫の定年後の熟年離婚原因は多々あるようですが、我が両親の場合は、妻側が以下の強いストレスを感じていたことに起因していました。
- 夫と一日中顔をつきあわせることがストレス
- 掃除の際、夫が邪魔である上に、掃除をしたそばから汚される
- 働いておらず時間があるのに、家事をしない夫への不満
そんな中、夫である父が毎朝出勤するかのように、習慣的に畑に通うようになり、
上記1.および2.のストレスは大きく解消されました。
それにより、母は平穏な心を取り戻すことができた事で、父に少し優しくなり、少しずつ父に家事分担を担わせていき、上記3.も解消。
父は、今では洗濯や皿洗いなどの家事をするようになりました。
まだ母の担っている家事の方が圧倒的に多いですが、今まで全く家事をしていなかった父にとっては、大きな一歩です。
母は、3つのストレスを解消でき、父への不満が減っていったようでした。
おかげで、日常的に生じていた険悪な雰囲気は少しずつなくなりました。
【必須条件】なぜ我が両親は、農業により救われえたのか。
私の両親は、定年直後のピーク時は大げんかが頻発していましたが、兄の始めた農業により父の生活リズムが整い、熟年離婚回避および早期介護懸念解消につながりました。
しかし、全てのご家庭にこの解決策(農業)が有効とは思っておりません。
この解決策が有効に働くにあたって重要な要素は、下記2点と考えています。
条件1:熟年離婚危機の一因が、「父が家でダラダラしている」
熟年離婚危機に陥っている原因が、
定年後の父が家でゴロゴロ&ダラダラしており、それに対し忙しなく家事掃除をしている母がイライラしている場合
に、今回の対策である農業は有効だと感じています。
または、仮に他の原因(性格の不一致、価値観の違い)があったとしても、「父が家でダラダラしていること」を解消すれば、少し解決の糸口が見えそうな場合にも有効です。
というのも、父を見ていた感じたことですが、定年後の男性というのは、家でダラダラしていたとしても、下記感情の狭間で苦しんでいるように見えました。

生き甲斐を見失っているが、威厳は保ちたい・・・
上記感情は女性の妻は感じにくいので、ついつい妻は心ない一言を言ってしまいがちです。
そんな一言に夫が激昂し、ギクシャクしている夫婦関係が更にこじれ、熟年離婚に発展しやすいのだと想像しています。
そこで、「生き甲斐」として農業を提供すれば、自信が取り戻せ、妻の一言に必要以上に反応することもなくなるでしょう。
逆に言うと、離婚ランキング上位にあがりそうな決定的な下記原因がある場合には、この原因に対する直接的な解決が必要なので、今回の対策である農業は効果がないと考えます。
条件2:対等な親子関係
子どもが農業を始め、父に作業を依頼するにあたり、
子どもが経営者(指示する人)、父が社員(指示される人)という構図になります。
そこで、子どもの指示に従い、父が実行できるか、という点が重要になります。
具体的には、日常的に発生する以下のような会話をすんなり交わせるかということです。

今日の施肥は〇〇mlでお願い。
今日は暑いから夕方の水くれは多めにお願い。

うむ。了解。
例えば、以下に該当するタイプの父の場合、上記会話において、「了解」といえずに余計な一言が追加されそうです。
逆に、以下のようなタイプの父の場合は、上手くいきそうです。
我が父は、育児にさほど関わってこなかったことが影響し、私達子どもの能力の実態を正確に把握できていないのか、こどもを過大評価しがち、ある意味、親バカな側面があります。
その側面が今回の件ではプラスに働き、父は兄を絶対的に信じ、兄の指示通りに動くことができています。
ここまで極端でなくても、少なくとも親子関係が対等であることは必須条件と感じています。
【最後に】子どもである自分が兼業農家となり、親に生き甲斐を提供しよう!
今回は、定年後の父に息子が生き甲斐としての農業の機会を提供する、というテーマでまとめました。
本来であれば、定年後の父本人が農業を始めて新たな生き甲斐を見つける、という方がシンプルだと思います。
しかし、年齢と共に体力気力が落ちている定年後の男性が、新しい事業にチャレンジするということは結構ハードルが高いことです。
そこで、我が家では比較的若い息子が代わりにチャレンジし、自分の副業としつつ、父に協力を仰ぐという方法を取りました。
結果的に、夫婦間の不和が解消され、後悔のない結果となりました。
我が家族と条件や要素が似通っているどなたかの参考になれば幸いです。
【余談】兄は、めんどくさがり&二児の父&共働き
会社員の兄が兼業農家になった当初、私は彼の動機がずっと疑問でした。
だって、決して農業を好き好んでするタイプではなかったからです。
兄の特徴は、以下です。
兄は共働きの二児の父なので、決して時間を持て余している訳ではありません。
しかし、兄を観察しているうちに、彼の農業に対する動機がだんだん見えてきて、そのまさかの理由が実に面白いと感じたので、今回、記事として取り上げました。(私と兄は、何でも話すという関係、というよりも最低限の会話しかしないので、動機を確信するのに時間がかかりました)
兄は長男かつ実家の近くに住んでおり、母の支援(兄の子の看病や送迎など)を受けていることもあり、定年後の両親の過ごし方や夫婦喧嘩を見て、放置すると、「めんどくさい&悲惨な事態になりそう」と危惧したのだと思います。
「父の為」「両親の為」に始めた農業ではありますが、一番は「兄自身の為」でもあったのかもしれません。
なお、兄と父が栽培した葡萄は、こちらで販売しています。
形やサイズが規格外の年もありますが、味はいい線行っていると自負しています。
葡萄栽培についてまだまだ修行中ですが、良かったらぜひ✨
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
コメント